「発達障がいってかっこいい」

社会の実現に向けて

木村一也

宮城県亘理町生まれ。
東北工業大学工学部卒。卒業後、工業デザインに従事。医療機器メーカ、印刷会社で経験を積みながら、まちづくり事業など社会貢献に取り組む。東日本大震災で実家が被災したのを機に、以前働いていた医療機器メーカーに復職。在職中の2014年に将来の企業のためグロービス経営大学院に通う。その後、起業準備を勧めながら障がい者就労継続支援を行う株式会社ポラリスの専務取締役に就任。ポラリスで新規事業の立ち上げを行っている中、グロービスで出会った学友に創業本気プログラムを勧められ参加を決意し、その後起業。

起業家インタビューでは、創業本気プログラム卒業生の創業前、現在、未来についてお届けしたいと思います。
記念すべきインタビュー第1号としてお話を聞かせていただいたのは、2016年下期のプログラム卒業生、株式会社マナライブ 代表取締役 木村一也さんです!
木村さんは、ユニークな子どもたちが輝くことができ、親子で未来に希望を持てるような「発達障がいってかっこいい」社会を作るために日々、奮闘されています!
木村さんのプログラム受講のきっかけから、現在に至るまで、そして未来について、『「発達障がいってかっこいい」社会の実現に向けて』と題して木村さんの熱いストーリーをご紹介します!

プログラムを通じ、本当にやりたいことが見つかった

木村さんが創業本気プログラムを知ったきっかけは、将来の起業のために通っていたグロービス経営大学院で出会った友人からの紹介でした。グロービス経営大学院で教員を務める山中礼二さんや、NPO法人ETIC 理事・事業統括ディレクターの山内幸治さんがアドバイザーや講師に入っているのを知り、自身のビジネスアイデアを見てもらう良い機会だと思い、参加を決めたそうです。当初は、勤めていた会社の新規事業のブラッシュアップをすることが目的でしたが、受講していく中で木村さんの中に大きな変化が生まれました。

「プログラムでは、自分の原体験や感じている課題をとことん深掘りします。それを他の参加者の方に言葉にして伝えていく中で、それまで気がつかなかった新しい気づきがたくさん生まれました」

そして、自分が本当にやりたい事を見出し、自身の事業に向き合おうと決めた木村さん。
ターゲットも含め、事業を一から考え直すという大変な作業にもかかわらず、自分が本当にやりたい事業のプランニングは、少しも苦ではなかったそうです。

木村さんの最終プレゼンテーションは、『発達障がい児童及び発達障がいグレーゾーン児童を対象にした体験学習「Qキャンプ」の事業計画』でした。

「私の子どもも発達障がいです。彼らやその保護者の将来を少しでも明るくすることを目指したいと思ったんです」と熱く語ってくれた木村さん。
木村さんにとって、創業本気プログラムとはどのような存在だったのでしょうか。

「同じ参加者の仲間たちだけでなく、メンターまでもが内面をさらけ出して、とことん話をします。そして、誰も否定をせず、どうしたら実現できるのかを共に考えてくれます。自分の感じている課題と社会課題を照らし合わせ、とことん考える機会。他者と共有することで、さらに考えを整理する機会があるのは本当にありがたかったですね」

本気で事業に向き合い、最終プレゼンテーションで自分の事業や想いを心からの声で人に伝えるという経験は起業した後も活きたと木村さんは話してくれました。
そして、女川町の須田善明町長がプレゼンを聞いて言った『「発達障がいってかっこいい」社会を作る』という言葉が、木村さんの人生の理念になりました。

プログラム卒業後、すぐに退社し、ハイスピード起業!!

創業本気プログラムを2017年1月に卒業した木村さんは、起業準備のため、勤めていた会社を退職し、2017年2月には新会社「株式会社マナライブ」を登記するという物凄いスピードで猛進します。

「そこからすぐにでも事業所をオープンし、事業をスタートさせたかったのですが、採用という最初の壁が立ちはだかりました。障害のある学齢期児童を放課後お預かりする放課後デイサービスを始めるためには、最低3人を雇用しなければ認可が下りないのです。
当初1人の採用が決まっていましたが、残りの2人の採用に大変苦労しました」

最初の壁を乗り越えられたのは、創業本気プログラムの最終プレゼンテーションのおかげだと木村さんは続けます。

「「Qキャンプ」に興味を持ち尋ねてくださった方へ、創業本気プログラムの最終プレゼンテーションと同じ内容をプレゼンしたんです。結果、共感を得ることができ、なんとその方に加え、その方のご紹介で一気に2人の採用が決まったんです!!」

そうして2017年から5月、発達障がいを持つ子どもたちを対象にした放課後デイサービス事業「Qキャンプ」をスタートします。

想定外の出来事への戦略が、事業継続のカギ

毎月の利用者も収入も増え、事業が軌道に乗り始めた頃、新たな壁にぶち当たります。

「2018年4月に児童福祉法の報酬改定がなされ、報酬が15%カットされてしまいました。障がいの重さで報酬が決まるため、障がいの軽い子どもを中心に受け入れているQキャンプは常に赤字の状態が続きました」

これまでの報酬を確保するためには、障がいの軽い子どもを持つ親に、子どもの障がいの重さについて虚偽の報告をさせなければなりません。

「無理をすれば事業を続ける事ができたのですが、国の方針が変わったことにより、自分たちはなんのためにやっているのだろうという自問自答を繰り返しました。結局、2018年5月いっぱいでQキャンプを終了することにしました」

国の方針が急に変わることや、今回のようなコロナショックといった、自分自身ではどうにもならないことに対して、事業者はどうのように準備したら良いのでしょうか。

「大切なのは、1つの事業に頼らないということ。マナライブを起業した際に、それまで務めていた会社は退職しましたが、自分が関わっていたプロジェクトには継続して関わっていました。また、Qキャンプをやっている時も社会課題を持続的に解決しようとする起業家を集中支援する仙台のプログラム「SOCIAL INNOVATION ACCELERATOR」に参加し、新しい事業を構想するきっかけを作ったりもしていました。
そのおかげで、Qキャンプが終了した後も、富谷市が実施する起業を応援する勉強会「富谷塾」に参加し、新規事業の子ども向けのプログラミング教室を実現させました。
自分の理想を実現するために全力投球をすることはとても大切ですが、倒れてしまってはどうしようもありません。何が起きても自分が生き残れる戦略を立ててくことが起業家には必要だと思います。
そして、強い思いを持つことも大切です。自分がやらなければいけないという責任感や、家族のためにというような強い思いがあれば、何が起きても自分が生き残るための戦略が立てられると思っています。」

木村さんが描く未来

現在富谷市で奥様とお子さん2人と暮らす木村さん。今後の展望を聞きました。

「私が目指すのは、創業本気プログラムの時と変わらず、『「発達障がいってかっこいい」社会を作る』です。
起業当時は会社の企業理念にもしていたのですが、事業を進めていく中で、当事者である障がいを持つ子供の保護者にメッセージが届いていないと感じるようになりました。創業本気プログラム参加時にも、ストレートなメッセージにするか、メッセージを隠すか悩んだ際にストレートなメッセージを選びました。
都会ではそれでもよかったのかもしれませんが、地方では当事者に響いておらず、むしろ嫌がられているように感じたのです。
狭い社会の中で世間の目を気にせざるを得ない親御さんたちを目にし、企業理念を「BE UNIQUE for UNIQUE KIDS」に変更しました。まだまだしっくりきていないので、当事者に届くメッセージを試行錯誤し、「発達障がいってかっこいい」社会の実現に向かって進んでいきたいと思っています!」

編集後記

今回インタビュー第1段として木村さんにお話を伺い、改めて創業本気プログラムは起業のスタート地点であるんだと感じました。
そして、プログラム卒業後の起業へのスピード感や、熱い思いと事業を続けるための冷静さに驚嘆しました。
起業を目指し準備をしている方にとってはとても参考になるお話だったのでは!と思います。

今年度上期の創業本気プログラムは、オンラインを活用し実施予定です。
木村さんをはじめとするプログラム卒業生の皆さんのような熱い思いを持った方々のお申し込みをお待ちしております。

教えて!起業のリアルQ &A

Q.融資について、起業のリアルを教えてください!

A.起業の際に受けた融資は、日本政策金融公庫と仙台銀行から900万の融資を受けました。
事業所の開設する必要があったため、施設の敷金やオフィス家具、車などの道具、運転資金としてこれくらい必要だと事業計画書を作成し、融資を受けました。
また、実際に事業を開始した後、売り上げが想定以下で運転資金が底をつきそうになる1ヶ月ほど前から動き始め、8月に杜の都信用金庫より500万の追加融資を受けました。
追加融資を受けるに至った要因を分析したところ、施設に入れるには保護者の多くは、大体1年前から考え始め、口コミを集めながら熟考して決めるため、私自身が想定していたよりなかなか利用者が集まらなかったのが大きかったです。

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