※本コースは、さとまなプログラムを受講する方を対象としているコースです。

地域調査・研究コース概要

女川町(宮城県)の地域の調査・研究を通じて、地域社会への理解や地域の人(個人)がどんな困りごとを抱えているのか、地域社会における問題や課題について考えるコースです。

このコースでは、受講生が「町の調査員」となって、地域の人の生活に密着します。地域住民の行動を観察したり、ヒアリング調査をしながら、地域の実態を明らかにしていきます。

どのような学生が対象か?

  • 将来、地元や想いのある地域をよくしたいと思っている。

  • まだ具体的にやりたいことが定まっていないため、地域のことを深く知りたい。

 

背景

女川町は、東日本大震災(2011年3月11日)によって、町の居住エリアの70%近くを流失し、当時の人口10,014人のうち、827名を失いました。
そのような状況の中、復興を進める過程でNPO法人アスヘノキボウの創業者である小松洋介は他の国の復興に学ぶべく、”起業のまち”と呼ばれるようになったNew Orleans(アメリカ合衆国ニューオーリンズ州)に訪問しました。ニューオーリンズ州は、2005年にハリケーンカトリーナによって、市街地の80%近くが水没するという未曾有の大災害を経験しました。

2005年に発災したハリケーンカトリーナの様子

復興という点では、東北の6年先をゆくニューオーリンズ州が、なぜ”起業のまち”と呼ばれるようになったのかを学びました。大きな役割を果たしていたのが、データブックでした。

The New Orleans Index at Eight by THE DATA CENTER

参考:「ハリケーンから10年、”起業のまち”と呼ばれるようになったニューオーリンズ」 ルイジアナ財団理事長 フロゼル・ダニエルス・ジュニアさん

このデータブックが通常と異なる点は、一般的な行政データではなく、「調査員が町に散り、住民が不安に感じていることや問題に思っていることをヒアリングし、そのヒアリングをIndex(目次)として、データブックを作成している」ことでした。

実際に普段地域住民の感じている問題意識や不安は、データで見ると、そもそも本当に問題なのか、問題だとするとどのくらい深刻なのか、そのようなデータを用いて、地域住民が復興について議論する場を設けていました。

課題あるところに、ビジネスチャンスあり。そうしたデータを活用し、地域の起業支援団体と連携して行うことで、地域に新しいビジネスを生んでいたのです。

その学びを持ち帰り、女川町でも震災後新しいビジネスや取り組みを生む循環をつくっていくためにデータプロジェクトを立ち上げました。

女川町にTHE DATA CENTERの所長ら3名を招いてのデータブック勉強会

 

2015年に作成した「女川の未来を考えるデータブック」

女川のデータブックは、その後「予防医療プロジェクト」の立ち上げや「新しい漁師組合」の創業など創業支援に活かされてきました。

画像
参考①:女川町の資金獲得・循環の流れ by女川データブック
画像
参考②:市場の水揚高とともに増減する水産加工業の仕入額 by 女川データブック
画像
参考③:人口流出に雇用の影響 by 女川データブック

このようにデータから地域の住民の議論を喚起したり、新しい事業が興るきっかけとなっています。

一方、データの活用にはまだまだ課題もあり、例えば以下のようなことに取り組む余地があります。

  • 地域住民がほしいと思う情報で活用できるデータがなく、ほしい。

  • データ活用するにはデータの欠損が激しいため、より精度の高いデータ収集が必要。

  • 地域の個人に焦点を当てたもっと深い情報や洞察(インサイト)がほしい。

どんな力が身につくのか

これからの地域づくりにおいて、地域の人が「何を思っているのか、考えているのか」を傾聴し、「どのように解決することができるのか」を考え、「ともに考える場(対話)」をつくる力は、これからの時代に求められている力だと考えています。その中でも、地域住民の声を傾聴し、問題や課題を深く捉え考える力をこのコースでは身につけることが可能です。

女川町のデータインフラづくりに貢献しながら、女川町と一緒に成長してみませんか?

活動内容

・地域住民へのヒアリング設計(何を目的に、どんな観点で情報を得たいのか、そのために妥当な調査方法は何かを考えます。)
・地域住民へのヒアリング活動(例えば、週に1回外出するおばあちゃんに一緒について周り、地域の高齢者の方の行動パターンや困りごとなどについて調査します。※交通費支給)
・ヒアリングした内容のレポート作成。
・地域住民の人との対話の場の設計や運営(フューチャーセッションなど)

コース伴走団体

特定非営利活動法人アスヘノキボウ

画像

アスヘノキボウは、女川町の社会課題解決を通じて、日本・世界の社会課題解決に貢献することをミッションとする団体です。日本全体で人口が減少し、経済が縮小する社会で、私たちが直面する社会問題もより深刻化し複雑になっています。

日本の地方はそれらの課題を先取りしている社会課題先進地です。私たちはその課題を異なるセクター(企業・団体)と連携することで、Collective Impact を生み出し、新しい地域のあり方を実現することで、日本・世界の未来に貢献します。

詳しくはホームページをご確認ください。

担当者:特定非営利活動法人アスヘノキボウ 後藤

画像
地域調査・研究コース担当者:後藤 大輝

 

問い合わせ

本コースについての問い合わせは、後藤(taiki.goto@asuenokibou.jp)までお問い合わせくださいませ。オンライン(Zoom)での面談を通じて、詳しく概要を聞くことも可能です。

Close Menu