創業はスタート

創業後の課題を克服するために
お願いしたいこと

青山貴博

女川町総務課公民連携室室長
元女川町商工会副参事、経営指導員
地域の商工業の活性化に伴う商工会の事業に加え、行政に対してまちづくりを提案する民間団体『女川復興連絡協議会』事務局として、『住み残る、住み戻る、住み来たる』をテーマに、復興プロジェクトを進める。また、情報の風化を食い止めるため、自身の九死に一生を得た体験と女川町の現状について語り続ける。

創業は「した時」ではなくて「した後」が大事

 前職で県知事から任命を受けた経営指導員として数多くの創業支援や経営指導をしてきた青山さんは、創業自体は意外に簡単で、本当に大変なのは始まってからだ、と強く言います。創業本気プログラムは創業に至る前までの計画を作る支援ですが、創業時もフォロー体制がたくさんあります。すでに創業した卒業生の皆さまは、事業が始まった後、売上や人材の確保を始め、たくさんの課題を乗り越えてこられたと思います。青山さんは、これまで多くの起業家や事業者と向き合う中で、課題を乗り越えることができず、「辞める」という選択をした人も多く見てきました。

「地方での起業となると規模も小さいことが多いと思います。そうすると経営者一人で抱えるものが多く、仮に同業者や世話を見てくれる人がいたとしても、あくまで人の会社なので事業のテコ入れまではできません。また、悩みや問題が仲間に言えるものばかりだとも限りません。夢や希望を持って事業を始めても、思うようにうまくいかず、辞めようと思っても、本当に一番辛く労力を使うのが事業を「辞める」ことです。始めるときには借り入れの応援があったりしますが、やめる際の借金返済に関しては助けがない。そうならないためにも、私がいつも皆さんに勧めるのが、商工会などの指導団体に創業時から相談をすることです。早いうちから相談をすることで、必要な情報をしっかり得ることができたり、何かしらの助けを受けたりすることができます。」

事業を始めると人の手が入り辛くなりますが、そこに入り込み、助けることができるのが指導団体。ぜひ、課題に直面している方も、事業がうまくいっている方も、指導団体の存在を上手に活用ください。

創業本気プログラムが他では真似できない理由

創業本気プログラムの他にはない強みはなんでしょうか。

「これまで数多くの経営指導をしてきましたが、創業本気プログラムでは、商工会で相談を受けた場合、お力になれないような人たちの想いもしっかり拾えることが特徴だと思います。どれだけ想いがあっても、創業するためには何をすればいいのかわからないという人たちも、「創業とは何か?」「なぜ自分が創業をする必要があるのか?」という部分から始まり、卒業する頃には、商工会でサポートできる段階になっています。そのため、想いを持った人たちが創業を諦めてしまったり、創業しても一人の力でなかなか上手くいかなかったりという事態も減りますし、地域としても想いを持った起業家が生まれるということは非常に良いことだと思います。」

また、ケーススタディも、守秘義務のある商工会では実施できない方法の一つであると言います。

「初めはケーススタディに意味はあるのか?と思っていました。
しかし、実際の起業家のストーリーを読み、自分がその立場になって考えてみる。そして、その考えを本人にぶつけ、良い事も悪い事も、リアルな“創業”をイメージできることは、創業を目指す人にとってとても有用な学びであると思います。
さらに、メンターや講師の皆さんの豪華さも特徴です。それぞれ1人でも創業支援ができる皆さんが女川に集まり直接教えてくれるという環境はすごいと思いますね。NPOと民間と行政がタッグを組んで実施する創業支援プログラムは、真似したくてもできない取り組みだと思います。」

 震災後の女川町では、起業をはじめ、たくさんの新しいスタートが生まれてきました。そんなたくさんのノウハウが詰まった女川町だからこそ、他の地域で起業したい人にとっても女川で学ぶことの意味が生まれています。

「女川の事例で自分の地域に反映したいものがあれば、ノウハウをシェアしたり繋いだりすることはできると思います。プログラムに卒業後のフォローなどで要望がある場合はぜひ気軽に相談して欲しいです。」

青山さんと創業本気プログラムの関係は、プログラムの開始以前に遡ります。現在は女川町役場 公民連携室室長として、事業の委託元という立場ですが、創業本気プログラムの立ち上げ前、元となる活動が始まった頃から青山さんはなくてはならない存在でした。

「創業本気プログラムの元となる活動は、震災後、商工会を中心に民間で立ち上げた女川町復興連絡協議会(以下FRK)で取り組んでいた創業支援でした。当時はFRKの事務局長、そして商工会の職員として、FRKの戦略室室長の黄川田さん、室長補佐の小松くんと共に創業支援をしていました。その後小松くんが特定非営利活動法人アスヘノキボウを立ち上げ、2015年に創業本気プログラムがスタートしてからは、プログラムの中に商工会のパートがあった方がいいのではないか?と提案をし、商工会の活用方法を伝えるパートを担当していました。講師を他の職員に引き継いだ後も、プログラム期間のアドバイスはもちろん、卒業生が事業を始める際のサポートを行ってきました。」

プログラムの成り立ちから現在まで、関わり続けてくださる青山さんは、創業本気プログラムにどのような想いや期待を持っているのでしょうか?

商工会で長年創業支援を行ってきた青山さんから見る創業本気プログラムの特徴は、想いはあるが、すぐに創業できる状態でない人を受け入れることだと言います。
商工会では、経営指導ができる人材が限られていることもあり、経営計画や資金だてについての相談になるため、相談の段階である程度事業内容が固まっていることが前提になっています。そのため、想いは強いが、経営計画などの相談ができる段階でない場合は対応ができない場合も多いと言います。

忘れて欲しくないのは繋がりを大切にすること

青山さんから、卒業生や起業家の皆さんへ向けたメッセージをいただきました。

「順調な方は、順調なりに、関係者の皆さんとのつながりを大切にしていただきたいと思っています。うまく行っているときには見えなくなってしまうこともありますが、うまく行っているのは携わっている多くの人が商売のパートナーとして認めてくれているからです。逆を言うと、気に食わなかったら商品を止めることだってできます。自分だけではどうにもならないことも起きる可能性があります。そんなとき、一人きりで頑張るしかなくなることのないように、状況がいい時も悪い時も、周りを大切にしていただきたいです。
そして、少しでも苦しいと思った際には、本当にどうしようも無くなって取り返しのつかなくなる前にすぐに仲間や指導団体など、頼れるところに頼っていただきたいと思っています。アスヘノキボウに相談いただければ、メンターや私に相談いただくこともできます。私自身、本気で事業に向き合っている方から頼られるのであれば女川という地域関係なくお手伝いしますので、何かあれば遠慮なくご相談ください!」

編集後記

今回は番外編ということで、卒業生ではなく、プログラムを見守り続けてくださっている青山さんにお話をお聞きしました。
青山さんもおっしゃってくださっていたように卒業生の皆さんのご連絡やご相談はいつでも大歓迎です!プログラムや最終プレゼンテーションにも是非是非お越しいただき、参加者と交流いただけると嬉しいです。
この記事を読んでくださった皆さんにも少しでも参考になったら嬉しく思います!

皆さんのお近くに、地方での起業を検討している方がいらっしゃいましたら、ぜひご紹介をお願いいたします(^^)!
また、ぜひ自分も取材して欲しい!というお声もお持ちしております。

それでは、また次回のSTART! ONAGAWA 通信をお楽しみに!

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