最高に居心地のよい場所 『カフェ・ミルズ』

最高に居心地のよい場所 『カフェ・ミルズ』

1月中旬、トンガ沖地震の津波注意報が発令されたため、創業本気プログラムの発表が延期となってしまいました。発表を控えていた私とアッキーさんのために、お忙しい中たくさんの方に予定を調整していただき、3月6日(日)に無事発表を終えることができました。

 

発表を終えて、家に帰って少し寝た後、プログラムが終わったことの実感が少しずつ湧いてきました。特にやることも無かったので、溜まっていた書類をゆっくり整理していると、創業本気プログラムにエントリーした際の応募用紙が出てきました。そこには、自分が思い描くカフェについての説明がびっしりと書きこんであり、4か月前の自分が思い浮かべていたカフェの姿が、今の自分構想しているものと全く異なっていたことを再確認して、「いよいよ自分も起業家としてのスタートラインに立ったんだなあ」と考えたりしました。

 

「カフェをやりたい。」と思い始めたのは、たしか大学1年生くらいの時からです。当時は僕もさほど本気ではなく、周囲にも僕の話を真に受ける人はあまりいませんでした。それが一変したのは大学3年生、豊洲にある『CAFE;HAUS』で一か月間働いた時です。毎日エプロンを来て、お客さんとちょっとした会話をしたりしながら、各々が自分の時間を自由に過ごすひとときを提供し、満足そうな表情でお店を出てどこかへ向かっていく。そんな日常がとても豊かに感じたことで、自分はカフェをやりたいのだと確信しました。

 

「本気でカフェをやりたい!」と周囲に言うようになってからは、様々な人から将来を心配する声や、反対の意見をぶつけられる機会が多くなりました。私は昔から、無理と言われると火が着くタイプだったので、自分がなぜカフェをやりたいのかを考えるよりも、「見返してやりたい!」という想いが先行するようになっていきました。その結果、自分を整理する努力を怠り、自分のプライドを守ることに必死になってしまったことで、いろんな想いがゴチャゴチャしてなんだかよく分からない、誰に使って欲しいのかも分からない、『CAFE;意味不明』の構想で頭がガチガチになっていました。

 

女川に来て、創業本気プログラムを終えたことで、自分は今まで間違った方向に進んでいたことに気づかされました。カフェをやるかどうかなど、さほど重要なことではなかったのです。もっとも重要なのは、自分はどんな人間で、何を大切にしたいのか、それを理解することなのだと思います。今後、私はカフェを開業するために取り組んでいきます。それは今までのように誰かを見返すためではなく、私が大切にしたいことを実践していくためです。

 

— 余談 -

私は映画が大好きなのですが、その中でも特に、アメリカの映画マイク・ミルズの作品が大好きです。

この方の作品には、『おもわず親指をしゃぶってしまう癖』という、人には言いたくないような弱みを抱えている少年だとか、『突如ゲイである告白をした父』を前にして、人間の不完全さに思い悩んむ男だとか、対人関係の問題を抱えている人間が主人公として描かれることが多くあります。

そういった主人公たちが、物語が進む中でたくさんの人と出会いながら、多様な考え方や人生について理解を深めていくことで、自分自身と向き合い成長していきます。つまり、「たくさんの人と関わりながら、自分らしい自立へと向かっていく」という構成です。このストーリー構成こそ、私がマイク・ミルズを好きなワケです。

自分らしく自立するために、自分らしく他者と接することができる“最高に居心地の良い場所”を、私はずっと求めていました。マイク・ミルズが映画を使ってそれを伝えるならば、私はカフェという空間を使って提供していきたいと考えています。

投稿者プロフィール

渡辺亜沙人
渡辺亜沙人
宮城大学 事業構想学研究科1年。石田研究室に所属し、環境心理学・社会学の領域からサードプレイスに関する研究を行う。2020年3月から現在まで株式会社MAKOTO WILLにインターンとして所属し、2021年11月からアスヘノキボウでのインターンを開始する。30歳までにカフェを開業することが目標。
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