夜、大工。

夜、大工。

チャレンジショップの工事が進んでいく中で、床を上げる作業をすることになった。

配管を通すためには、床のレベルを上げる必要がある。

そして、そのためには床の下にある「基礎」の部分からつくっていかなければならない。

作業は昼過ぎから始まった。

まずは、今の床がどれくらい歪んでいるのかを確認する。

実際に測ってみると、大きくずれているところでは何十cmも差があった。

ペットボトルを床に置けば、そのままコロコロと転がっていく。

普段生活しているだけでは、なかなか気づかない床の歪み。

でも、床をつくる側に立ってみると、その違いがはっきりと見えてくる。

そこから、基礎のためにパッキンを置き、その上に薄く切った木材を何枚も重ねながら、少しずつ高さを調整していく。

最後に、すべての床のレベルが揃うように合わせていく。

文章にしてしまうと、たったこれだけ。

でも、この一言に収まってしまうのが不思議なくらい、大変な作業だった。

そもそも、真っ直ぐビスを打つことさえ自分には難しい。

大工さんが迷いなく打っていく横で、自分は何度もやり直す。

作業スピードも、大工さんの3分の1以下。

斜めに打ってしまえばやり直し。

曲がってしまってもやり直し。

何度も何度もビスを打ち直しながら、少しずつ作業を進めていった。

それでも、怪我をすることなく、安全に作業を終えられた。

まずは、それだけでも自分を褒めたい。

木を切る。

嵌める。

乗せる。

ビスで止める。

また測る。

そして、また木を切る。

地味な作業だし、汗もかく。

身体もどんどん疲れていく。

それなのに、不思議とずっとやっていられる。

新しいことに挑戦できているからなのか。

それとも、単純に自分がこういうことを好きだからなのか。

気づけば、時間の経過をほとんど気にしていなかった。

途中でしっかり休憩をとって、大工さんと一緒に夜ご飯を食べた。

仕事の話をしたり、いろんな話をしたり。

昼間とはまた違った空気の中で、大工さんと過ごす時間もすごく楽しかった。

そして、作業は夜まで続いた。

客席側の床が張れた頃には、深夜3時。

長い一日だった。

人生で初めて、自分の手で床をつくった。

そして、完成したばかりの床に、一番最初に寝転んだ。

木の匂いを感じながら、何もない天井を見上げる。

なんだか、雲の上にいるような感覚だった。

「床って、こんなに気持ちいいんだ。」

そんなことを思った。

まだまだチャレンジショップの完成までは長い道のり。

これから壁ができて、カウンターができて、設備が入り、少しずつ「店」になっていく。

その一つひとつに、自分も関わっていきたい。

そして、全部をやり切ったとき。

この場所で、どんな感覚が待っているんだろう。

今は、それが楽しみで仕方ない。

投稿者プロフィール

松本匠世
松本匠世
兵庫県西宮市出身。23歳、現在大学院生。
大学では建築設計を専攻しており、建築分野の幅広さに気づき様々な分野を勉強中です。
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