ごかん

ごかん

東京から女川に来て2週間。東京では気にしていなかったことを意識して生活していた。

街で聞こえる音、遠くに見える山々、雨上がりに匂う草の匂い。

ちょっと山のほうに行けば、草や木々の匂いがして、海のほうに行けば、爽やかな潮の匂いがする。

東京なら電車を使って移動する距離も歩きや自転車で移動するようになった。その時間もあってか、すごく自然と触れ合えている。

僕は女川に来て、東京という街によって五感が制限されていたと感じる。また、思考も制限されていた。

それを強く感じたのは、シェアハウスの人に「星を見にいこ!」と言われた時だった。

僕は最初、「嫌だ、面倒臭い」と言った。

僕が生まれ育った東京は、星が見えないからだ。生まれてからずっと星というものを綺麗だと思ったことがない。だから時間無駄。と思っていた。だが、僕のシェアハウスのルームメイトは嫌がる僕を連れ出してくれた。

嫌々言いながら、見た星空は本当に人生で1番綺麗だった。5分で帰ってこようと思っていたのに、6月のまだ冷え込む夜の中、真上を向いて30分星を見ていた。

星というものは見えないもの。その僕にとっての当たり前が崩された日だった。

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