女川滞在記(2) 「懐かしさ、本気」

女川滞在記(2) 「懐かしさ、本気」
今回のブログから趣向を変えて、感じたことを物語っぽく書いてみようかと思います!

その方が感じたことを事細かに記録できそうなので…!

主人公は22歳の「青年」。

普段の僕とは違う視点で女川を感じてくれるでしょう。

1人旅だと少し寂しいので、1週間行動を共にしてもらいます。

単純に、女川でジョージはこういう風なことを感じていたんだなァ、と呼んでくれれば嬉しいです。

 

埼玉→。懐かしみある9月7日

僕の住んでいる埼玉から約5時間。久喜、宇都宮、仙台、石巻、女川。

女川に関する前知識は友達から教えてもらった。強く残っていたのは「」「原発」。

2011年から8年経った今どんな生活がされているのか、外の移り行く青と緑の風景を見ながら考えていた。

石巻鉄道に乗る。黄色と深緑のラインが青空によく似合い、押しボタン式開閉ドアは新潟の地元を思い出させた。

なんだか懐かしい。

女川に到着する。さわさわと香る潮風で、心地いいスタートがきれそうだなと思えた。

新しい街の入り口に相応しい女川駅のアーチを抜けると、海まで一直線に拓けたレンガ道と商店街。

「シーパルピア」と言うようだ。

統一された外観がとても素敵で、夕暮れ時の空のきらきらな雲も相まって

今後1週間の生活にワクワクしながらオリエンテーションを終えた。

オリエンテーションでは女川の復興の歴史や、その中心人物の紹介、お試し移住プログラムを行う

「アスヘノキボウ」の説明を聞かせてもらえた。

早い段階で地域についての情報をもらえてとても助かるなぁ。

帰路。

お試し移住の宿は女川の隣駅「浦宿」にある。

シェアハウスにぴったりの距離感な部屋の広さで、

旅らしいトラブルもありつつも、無事にルームメイト全員と挨拶を終える。

これからの生活に期待を膨らませながら、胸いっぱいに就寝した。

 

女川サイクリングと深夜の会話 9月8日

起床。

関東では味わえないほど気持ちのいい朝。

女川駅構内、子ども心をくすぐるような場所にある「ゆぽっぽ」で朝風呂をキメる。

富士山の麓に3匹の鹿と大きな樹。1匹のツバメも飛んでいた。

さて、温泉からあがったらやることは1つ。

10分100円のマッサージチェアーで喘ぎながら、コーヒー牛乳をかっ食らう。

最高です!

その後、物販コーナーを見学。

貼りだされている子どもたちの歌が心をざわつかせる。「一歩一歩、もう一歩」。あぁ。

さらに目に留まったのは、絵本「なみだはあふれるままに」と「16歳の語り部」。

絵本はその場で立ち読み、16歳の語り部は購入。

内容はぜひとも手に取って確かめてほしい。

その地だからこそのパワーが宿っている。

どちらも込み上げるものがあり、とても有意義な時間を過ごせた。

お昼ご飯はYUME WO KATARE ONAGAWA「夢かた」でラーメンを食べる。

外ではストリートフェスを開催していて、弾き語りやバンド演奏に心が躍りつつ

昼の女川を満喫した。

2日目は「女川を知る」ことをメインに動いた。

「ぷらっと」でバイクをレンタルし、沿岸部や女川の高台方面を重点的に観て回る。

まずは高台方面。

かなり坂を登る。

住宅街。

女川小中一貫校の建設地。

奥へ進むと支援学校高等学園。

坂を下り沿岸部。

広い道路脇には作業場。

釣りをしている親子。

遠方からやってくる漁船。

かもめ。

反対側へ行くと、巨大冷凍庫。

国道398号線、通称リアスブルーラインを漕いでいく。

ふと、脇にあった巨大ブロック塀に目が留まった。

鳥居に興味が湧き、自然とその先へ。

蜘蛛の巣が張られた急な石段を上ると、木々に囲まれた社と「」が佇んでいた。

第3号石碑だそうだ。

「ただいまと 聞きたい声が 聞こえない」

…。

びっくりしたのは、ここが津波到達地点だということ。

「無理やりにでも連れ出してください。」

「絶対に引き止めてください。」

この石碑を、この土地で、直に観れたことが何よりも良かった。

稀有な時間を過ごした後は「ゆぽっぽ」で2度目の湯舟。

…最高です。

夜。

シーパルピアを通っていると、ルームメイトと出会う。

どうやらこれから集会があるらしい!

向かってみるとお試し移住者だけでなく、別企画で参加している方々が揃っていた。

酒を呑み、ボードゲームをして、色んな人と交流を深められた。

ちらちらと帰宅者が出る中、見たこともない器具が出てくる…。

上には熱したブロックの炭を入れた銀カップがあり、下には水が6割ほど入った四角のボトルがある。

それらを繋ぐ水色のパイプと装飾のカーブが美しく、長い持ち手の吸引口の金と黒チューブが映える器具。

名前は「シーシャ」!!!(水たばこ)

初めて生で見る水たばこに心が躍りましたァ…!

どんなもんかと吸ってみると桃の香りがスぅーっと入ってきました。

暗い部屋の中で、間接照明と感傷的な音楽が良い演出を加えつつ、自分の未来のことや考えていることを語り合い、

真摯に耳を傾けあい、同じシーシャの煙吸う、若くて大人で多感な時間だった。

シェアハウスに着き、居間で駄弁る。

好きな本の話やアニメの話、生きてきた自分のこと、今話している相手のこと、未来のこと、その他諸々。

同い年のルームメイトとは3時まで語り明かした。

今日1日で本当に良かったと思えたことがあるので書いてみる。(今後何回も書くと思うけど)

 

会話した人達は芯なんて細いものではなく、みんな心の幹があって、誠実で、人一倍本気で必死に変わろう変えようとしていて、相手のことを思っていて、楽しそうにしてる。

僕にはそう感じられて、だからこそ会えて良かったなと思う。

少しでも期間がズレていたら会えなかった人達。

毎回毎回の出会いは運命的に感じること。じゃないと勿体ないし、相手から得られるものが少なくなりそう。

 

とてもとても素敵な1日であった。

就寝。

投稿者プロフィール

小川譲史
小川譲史Actor
22歳。新潟出身埼玉在住。
役者、福祉関係者。
「好きこそ物の上手なれ」
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