鹿との向き合い方を考える 〜Part 1 加速度的に増える鹿、高齢化する猟師さん〜

鹿との向き合い方を考える 〜Part 1 加速度的に増える鹿、高齢化する猟師さん〜

おばんです!後藤です!
「トトロの寝言」ブログも毎週書きたいと思っていながらも、気づくと最終更新から1ヶ月以上経っていました。。。

何かを続けるというのは、本当に難しいことですね。。。。。
「継続は力なり。」という言葉が似合うねと言っていただいた小学校の先生には顔が立ちません。。。
年々難しくなっているように感じます。

ところで、今日は鹿と猟師さんについて書きたいと思います。
唐突ですが、実はわたし大の鹿ファンなんです。

正確にいうと、女川のコバルトラインの鹿を見て、ファンになりました。
女川には、日常的に鹿を見ることができるんです!!!

東京出身者には鹿が日常的に見れることが、非日常で。
物珍しさから、鹿をみるととっても興奮してしまうのです。

手ブラーシヵァァ!!!!!!

よく運転できる友人が遊びに来ては、ドライブしましょうということで「ナイトサファリ」を楽しんでいました!
勝手にナイトサファリと呼んでいるアクティビティですが、ナイトサファリは夜に車から鹿をみる体験を指します!

特にオススメのコースは、女川駅〜コバルトライン(昼は三陸の綺麗な沿岸を見れることでドライブコースとして有名)〜大六天駐車場までのコースです!

*オススメコースはこちら。片道10分。天気がよければ大六天で満点の星空を見ることもできます!

昼間はこんな感じです!

*写真は、第11回のきっかけプログラムの際に、コバルトライン付近の山から撮影された写真です。

ちなみに奈良に歩いているような鹿ではなく、牡鹿半島の鹿は大きく迫力があります。
特に、オスは本当にかっこいい!!!
夜真っ暗な山のなかに降り立つ、オス鹿は威厳があり、言葉にできないほど荘厳です。

 

そんなナイトサファリを楽しんでいた昨年、ふとしたきっかけで、猟師の大島さんと出会い、山に連れて行っていただける機会を得ました。その時は、結局3時間山の中に入り、鹿とは遭遇しませんでしたが、狩猟のわくわくと、大島さんから教えてもらった鹿と狩猟の世界に引き込まれ、狩猟に関心を持ちはじめました。

 

そこから、女川でも鹿と向き合う機会として、自身の勉強の他、はまぐり堂の亀山さんや島田さん、猟師の大島さんと女川でも勉強会などを開き、鹿と向き合う機会をつくってきました。

〜これまでのイベント〜
・鹿のフューチャーセッション。
・「新人猟師が68日間でイノシシ130頭!!【森部流(岐阜大学)】誘引餌によるニホンジカの捕獲講習会」。
・鹿の勉強会&試食会。

などなど。

 

そんな機会をつくっているうちに、僕自身、猟師さん(ハンター)になることを決めました!

 

狩猟免許は今年は4回の免許試験のチャンス、仕事全被りで行けませんでしたが、、、、
積極的に山に入って、修行を積んでいきたいと思います!
来週から猟期に入りますが、今年は10回は山に入りたい。。。。。!

 

そして、現在、はまぐり堂の亀山さんと猟師の大島さんが中心となって進めている『はまぐりジビエ』の立ち上げプロジェクトが始動しています!(本当に素敵なプロジェクトなので、ぜひぜひ応援してくださいね!)

なぜ、このプロジェクトが立ち上がったのか、面白い鹿と狩猟の世界を、僕自身の整理も兼ねて、何かに残しておきたいと思い、ブログに書くことにしました!このブログを読んで、少しでも鹿と狩猟に興味を持ってくださったら、嬉しいです!

 

ちょっと書いてたら長くなったので、4回にかけて書いていきます!

Part 1 加速度的に増える鹿、高齢化する猟師さん
Part 2  銃猟とわな猟 〜猟師さんの仕事を分解してみた〜
Part 3  多様な狩猟との関わり方をデザインする
Part 4  ちょっと待った、それって人間都合 〜はまぐり堂の食肉処理施設が目指すもの〜

Part 1は、『加速度的に増える鹿、高齢化する猟師さん』をテーマに、鹿と猟師さんを取り巻く現状について書いていきたいと思います!

 

 

全国で広がる獣害被害

見た目はとっても可愛い鹿ですが、今日本全国での鹿やイノシシなどの農作物への獣害はひとつの大きな社会問題になっています。

2016年の全国での野生鳥獣による農作物被害額は172億円
ちなみに獣種別の被害額では、鹿(56億円)→イノシシ(51億円)→サル(10億円)と、鹿による被害が最も大きいというデータが出ています。
(平成28年度 農林水産省 「全国の野生鳥獣による農作物被害状況について」より引用 )

もちろん、女川が属する牡鹿半島は、先ほどご紹介した通り、鹿めっちゃいます。
女川の獣害被害額は、ビジネス農業がほとんどないため、数字としては、1千万円に留まっていますが、それでも昨年だけで鹿との交通事故が20件。6300人の町ですから、315人に1人は鹿に起因した事故が起きているということになります。

現にナイトサファリの際に、鹿が走っている車の目の前を横切るという体験を、自身2回経験しているので、事故になっていなくとも、そのようなケースは多いという感じを受けます。しかも怖いのが、鹿と車って接触したら、車の方が当たり負けしないイメージがありますが、こちらの鹿は100kgを超える鹿も稀ではありません。。軽自動車だと廃車になることもあるようです。。鹿、恐ろしや。。。

・樹木/畑作
・鹿との交通事故:20件

また、鹿が増えすぎると、生態系にも影響するという説もあります。
高密度(理想状態の約5倍〜7倍の過密度で生息)で生息したシカは山のイネ科の草を根こそぎ食べるため、昆虫や野鳥の生息領域を侵すのではと懸念されているためです。

そのような状況のため、現在鹿は害獣として、駆除の対象になっています!

鹿の駆除の流れ

鹿を駆除してほしいという依頼は主に住民から寄せられるのですが、
その場合の多くは、直接猟師さんではなく、行政に連絡が行き、行政から猟友会(多くの猟師さんが所属する一般社団法人です。)に依頼するもしくは罠に捕まった鹿は行政職員の方が直接対応するというかたちになっています。*①の流れ

ただ、町民の方が猟師さんと直接知り合いの場合は、②の流れになります!

猟師さんの高齢化

しかし、問題は猟師さんの高齢化によって、今後猟師の数が激減していくことです。
全国で狩猟免許取得者数は、19万人(2015年時点)いますが、その内12万人(約65%)が60歳以上です。
(大日本猟友会 HPより引用)

さらに猟師さんの人口も減少傾向にあり、免許を持っていても狩猟をしない人もいることを考えると実数としては、もっと少ないとみられています。

ピークの猟師免許登録者数に比べると約10分の1以下の狩猟免許登録者しかおりません。。。。

ジビエブームで、10代・20代の若手や女性を中心に、猟師免許を取得する人が増えたため、免許登録者の数もほぼ横ばいになっています。
ただ、今後60際以上の猟師さんの数がどんどん減っていくことが予測されるため、楽観視できない状況です。

 

加速度的に増える鹿

一方、鹿やイノシシなどの数は加速度的に増えていると言われています(平成27年度から徐々に減少傾向)
その理由は、鹿の繁殖力です!

鹿によっても寿命は異なりますが、一般的なニホンジカは寿命がオスで10年〜12年、メスで15年〜20年と言われています。メスは生まれて1歳で妊娠できる能力を持ちます。また、鹿は一夫多妻制で、繁殖期(9月〜11月)になるとオスは縄張りにハーレムをつくり、メスとひたすら子づくりに励むそうです。。。!

オス、羨ましいです。。!だからかっこよく見えるのかな。。。。

さらに、他の動物とは違い、ほぼ毎年出産します。単純計算で、メス1匹あたり15匹のこどもを生む計算です。。。。!すごい、お母さんも頑張ります。。。!

また、天敵であるオオカミが1905年に絶滅し、温暖化で冬が過ごしやすくなったことから、鹿の生存率も高くなっていると言われています。

なので、鹿が加速度的に増えているという事態に。。。。。

どのくらい増えているかというと、なんと過去25年間で、約10倍の数に増えています!!

 

 

こうして見ると、猟師さんの数と鹿の数は反比例していると思われがちですが、実は捕獲数については毎年増えているというデータがあるんです。

実は1900年代では、7万頭だった捕獲頭数(シカの捕獲数)が、2015年時点では、62万頭(*シカの捕獲数)にまで増えています。
この数字は年々上がっているため、猟師ひとりあたりの捕獲数は、増えてきているという計算になります。

環境省が出している「全国のニホンジカ及びイノシシの個体数推定等の結果について(平成30年度)」によると、2018年の調査時点では、鹿の個体推定数は減少傾向にあると見られています。2017年の調査から減少に少しずつ転じている傾向にあるようです。

*個体数:中央値約272万頭(90%信用区間約199万~396万頭)

生息数の出し方ってどうやっているんだろうと調べて見たら、
実はこういう風に計算しているらしいです。面白いですね。

生息個体数(翌年)=生息個体数(ある年)×自然増加率※-捕獲数
※自然増加率は、既知の知見から範囲(今回は1.04~1.36 )を与えて、その中で妥当な数値を 探索した(2010年度の中央値は1.21となった)。

この数字は、もしかしたら、200万頭くらいかもしれないし、450万頭いるかもしれないっていう統計学の曖昧な数値なので、正確なことを言うのは難しそうです。。

また、この数字も捕獲数は申告制であるため、本当にどれだけちゃんと数を申告しているのかという点については、謎が多いそう。。。
これ以上は触れません。。。!

しかし、問題は、「今後もシカの捕獲数を増やしていかないと、シカの個体数は上昇していくだろうという点です。
これまで、猟師さんが頑張って捕獲成功率を高め、捕獲数を増やしてきたとしても、今後猟師さんが減っていくのであれば、それはもっと難しくなるということ。

今後の課題です。

まとめ

鹿:増える
猟師さん:今は横ばい、今後減る。

猟師さんめっちゃ頑張るけど、それ以上に鹿も頑張る。
今後、その差は開いていく。

これでは、今後も鹿が増えてもシカたない状況です!

 

最後は寒いジョークで終わってしまいましたが、次回は狩猟〜処理までの猟師さんの仕事に焦点をあてて、書いていきます!

P.S. )もう少し、肩に力入れず、緩く書こうと思います。

投稿者プロフィール

後藤 大輝
後藤 大輝
特定非営利活動法人アスヘノキボウ プログラム開発部

大学在学中、東日本大震災のボランティアをきっかけに、東北へ足を運ぶようになる。外交官を志していたが、今後の東北(被災地・地方)から面白いことが生まれていくのではないかと確信し、在学中に女川町へ移住。

女川町を拠点にまちづくりを学ぶプログラムをテスト的に実施した後、2016年10月にアスヘノキボウ入社。現在は、女川をフィールドにビジネスや文化活動をする人を生み出す活動人口創出事業(お試し移住プログラム、女川/地方に関わるきっかけプログラム、創業本気プログラム等)に取り組んでいる。2017年3月 明治大学国際日本学部 卒業。

出身:東京都
趣味:音楽鑑賞、水タバコ、ナイトサファリ、ボードゲーム
最近の関心事:狩猟
一言:地方で何かチャレンジしてみたい、学生新卒で地方 ・NPOで働くことに興味がありましたらお気軽にお声掛け ください。
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