エピローグ〜みせづくりとまちづくり〜

エピローグ〜みせづくりとまちづくり〜

今日で女川に来てから3週間。明日の朝には東京に帰ってしまうので今日が実質の最終日ということになります。「光陰矢の如し」ですが、思いの外、自分で想定していた以上に中身の詰まった3週間でした。滞在中に感じたこと・学んだことはこれまでのブログで余すことなく書いてきたので、エピローグとなる今回のブログはそれを薄く広く総括できる内容にしたいと思います。

気仙沼の本店に行って以来すっかりハマったマザーポートコーヒー

朝8時に駅の待合室で新聞を読みながらおにぎり食べていた2週間前とは比べものにならないくらい優雅な朝ですね。

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まずは大事な告知から。

3月18日(月)、OCHACCOにて、この3週間一緒に働いていた公香ちゃんプロデュースの

Kimi-Café

を一日限定で開催します。普段のOCHACCOとはひと味異なり、抹茶を目の前で点てて提供するというスタイルです。ただの「インターン生が企画してみました」といったようなイベントではなく、OCHACCOとしてのみせづくりの矜持を示すようなイベントとなっているのがポイントです。

日々仕事をしていく中で、店主の内海康生さんは「働く人それぞれの得意なことを伸ばしながら、お客様の満足度や売り上げにつなげていこう」ということをおっしゃっています。前のブログにも書きましたが、康生さん・和華さん・公香ちゃんと4人(最後はふーびーさん含めて5人)で、それぞれの得意なことを活かしてお店をどのように良くしていくかを考えながら働き、お客さんの満足につなげるために頑張っている時間が私自身も大好きです。

店をつくっていくにあたって、到達点(顧客満足度と売り上げ)というに向かって色々な案を出し合って、試してみて、それが結果として現れて、また修正して・・・このような繰り返しのもと日々進化を重ねているというのがOCHACCOの「みせづくり」であり、この商店街全体の「みせづくり」のあり方だと思います。そして、大事なことですが、その根底には「好き」や「得意」という事業者それぞれの「想い」が詰まっています。

 

今回開催するKimi-Caféも、茶道を長く続けてきた公香ちゃんの「得意」や、彼女のもつ人を穏やかにするような雰囲気を最大限に活かしながら、従業員みんなで、来て頂いたお客さんの満足度を高めるための取り組みを考え抜いたイベントになっています。

(こんな感じで準備してます)

普段なかなかOCHACCOに足を踏み入れる機会のない町民の方々も、新たな時代の「女川流みせづくりのカタチ」を感じられるイベントとして是非OCHACCOに来てみてください。(私自身その場に居合わせることができないのが痛恨の極みなのですが、今日の試運転にてお客第一号として抹茶を頂いてきます)

 

これは滞在中に学んできたもう一つのトピック「まちづくり」にもいえることなのかもしれません。そのエッセンスに関しては「女川式構造改革」「第一線の女川人」「復興まちづくりの比較政治学」という三つの記事に書いてきましたが、結局それらを成り立たせているのは、人の「好き」「得意」「想い」といったみせづくりにも共通することなのだと思います。普段は自身の目の前の仕事・業務に集中しながらも、ふとズームを引いた時に「女川が好きだから」「こういう女川にしていきたいから」といった想いをぶつけることができる土壌がこの地には本当に強くあるのだなと3週間の滞在中も実感しました。これらは、もの凄く高速で時宜を得たI-DCAP(*まずはIdeaをもとに「やってみる」というのがキーです。PDCAではない!)を可能にしています。

 

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さて、ここで滞在前に書いた「女川滞在企画書」のワードファイルを恐る恐る開きながら、全力で駆け抜けた3週間のチェックをしていきたいと思います。

 

恥ずかしいですが、全部晒します。

  • 滞在の目的:

1)一人旅や学生生活全体の総決算(「最後のチャレンジ」)

パリ留学からの帰国後、学生生活最後の一か月を使って、これまでやり残したことの一つとしてあった「女川の再生をこの目で見て発信する」という記者的な活動を行う。「どのようなコンセプトをもとに町ができあがっていくのか?」「どのような思いを胸に1000年に1度のまちづくりにとりくんでいるのか?」などを日々の活動を通じてインプット/アウトプットしていく。

*女川町:かつての一人旅で関心。[まちづくりとヒト]というコンセプトを実感

2)自立・自己成長の機会

地方でのまとまった期間の生活を体験することで、ヒトの魅力や自身の新たな一面を掘り下げて考えていく。ゼロの状態から自身の3週間の生活を創り上げていくという新たな試みを通じて、悪戦苦闘していく中で発見できる自分の姿や他人との関わり方を発見する。自然や人間の魅力あふれた女川の環境の中で、物事の「根本」に着目し、様々なことについて思考を巡らせ、より深みのある人格を目指す。

3)物理的貢献と知的貢献

短期間であっても、女川の人々の「活力」の一部として地域に貢献していく。また、相互に会話をする中でインスピレーションを与え合う生活をすると同時に、これまでの自身の学習を活かして行政・町民における復興政策の実相を調査・執筆する。

  • 現地でやりたいことの概要:

最もやりたいこと=これまでの旅のように全力で街を歩き、地元の人や移住してきている人々と話していきながら女川を立体的に捉える。その過程で、地元産業や飲食店などのお手伝いを重ねていき、より地域住民の視点で「ヒト」や「仕事」を学んでいく。また、滞在後半には、自身のこれまでの学習を踏まえて、復興行政に関わる方々(町長・団体関係者・住民・震災後の復興に関わる団体)にインタビューを行い、復興行政についての知見を深める。たくさんの人と語り、知見を与え合う「経験の交換」を通じて、自身にとっても女川の人々にとってもかけがえのない時間にしていきたい。

  • 心構え:

・バックグラウンドを脇に置き「一人間」として素直に物事と向き合う。

・今年のスローガンや目標とした四つの軸をベースに成長する機会と捉える。

・問題認識をもって主体的に。他人任せを慎むよういつも以上に注意。

 

当然反省すべき部分もいくつかあります(これは書きません。胸の内で自己反省します)が、「思っていた以上に達成できているな」というのが第一印象です。細かいチェックポイントはこれから検証していかないといけないものの、大くくりでいえば、自身の意志に基づいて計画を立てながら、それに沿って全力で実施するという「これまで」の自分なりの生き様を体現できたパリから帰国後の約2か月だったと思います。そこにプラスして成長できていればと思います。

一つだけ嬉しかったことを書いておきます。OCHACCOの康生さんに、「物事のポジティブな側面を伸ばそうとしてくれる」と褒めていただいたことが何回かありました。実をいうと、生来かなりのネガティブ人間であった自分が、今年最も変えていきたかったことであり、行動実施レベルでの目標にも「いいものをきちんといいと伝える」という点を書いています。人がそれまでの傾向を変えていくのは非常に難しく時間もかかるため、まだまだ途上の段階には変わりないのですが、意識し続けた先に、変化への兆しが日々の行動に現れてきたのだと思うと少し嬉しく思いました。

 

 

そして何より、全体を振り返ると、周囲の人に支えられながらこの3週間を実りあるものとして過ごせたのではないかと思っています。ここで出会った一人一人の存在がなければ、自分の女川生活はここまで実りのあるものにはなっていなかったと思います。ふらっと来た東京からの学生を素直に受け入れてくれた女川の方々には本当に感謝してもしきれないくらいです。

また、女川の人々だけでなく、同じタイミングで女川に来ていた各地から来ていた学生たちからも沢山関わらせて頂く中で、日々刺激を受けながら過ごしていました。かつての自分ができていなかったことをきちんと全力でできている彼らの姿をみて、さらに自身の向上心に火がついた毎日でもありました。

こうやって振り返っているとキリがなくなるのでこの辺で。また遠くないうちに来ます。

 

最後は滞在中最もお世話になったOCHACCOの方々との写真。一生の思い出です。

 

 

「やがて海へと帰る~さらに新しい女川へ~」

こんな日がすぐに来ることを期待しつつ筆を置きます。

投稿者プロフィール

Shion Ohno
Shion Ohno
はじめまして!大野志温(おおのしおん)です。
東京都出身24歳。東京大学公共政策大学院修了後、都内で働いております。
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