移住生活者パルコキノシタです。
復興にかけて、誕生した街、「シーパルピア」はすばらしいですよ
ぼくもおかせいの海鮮丼の上手さはこの文章力ではうまく言い表せないくらいです。
でもね、やはり移住をした無職のわたしには、毎日2000円を超える海鮮丼を食べ続ける事は
相当なハードルではあるわけです。
まあ理想をいえば、500円位で食べれて、高くても千円未満でお腹いっぱいになる
そんなランチはないだろうか。
そして、敢えていうなら、生まれ変わった女川の味だけでなく、震災よりずっと昔からの味
変わらない続いている女川の味はないだろうかという事を
移住した僕は探していたわけです。シーパルピアはきれいだけど
仙台市内にあるいろは横町的な何十年もやっているような店どっかにないだろうか
さまよう事1分めちゃくちゃ近い所に、ありました。
なにしろ30メートルの津波に襲われた町なので震災前のまま残っている店は奇跡なのです
ぼくのなかで重要文化財確定しました「おかずや」
多分こういう店はラーメンも売っているけどオムライスも売っているような感じなんですよきっと
うっ!まぶしい
このメニューを見る限りではオムライスはないけれどハンバーグ定職とかカツとかエビフライがあるでしょう、合格です。洋食も食べれるラーメン屋は昭和の遺産なのです。
ここで自分はガッツリ食べる事をイメージして「ラーメン」と「半カレー」の2品をいただく事を選択。
これは大変な事です、なぜか、
まだ一度も食べた事の無い、どれくらいの量があるのかわからないものを注文するのですから
食べきれない可能性があるわけです。でも一度に中華と洋食の両方をどうしても食べておきたかったので
二つを注文することにしました。
来ました。
予感は的中しました、盛りが大きい、おおきすぎる。
僕は「半カレー」を頼んだはずだけど、
これは東京の駅地下のカレー屋なら一人前といわれてもしょうがないボリュームです。
美味しかったら完食しよう、まずかったら残そう。
そう決めて試食することにしました。
まずラーメンですが、ラーメンはまず黄金色のスープに、無数に浮かんだ油の玉をよく見つめます。
油に濡れて光るシナチク、浮かんでは沈む輪切りのネギたちに自分の人生を重ねつつ
じっとチャーシューをみつめます。
「あとでね」詫びるようにそっとチャーシューを右上にずらし気味にスープに浸けておきます。
これらの作法は伊丹十三監督のラーメンを題材にした映画「タンポポ」に由来するものですが
初めて来店するお店に対しての僕のささやかな礼節をつくす意味があります。
いただきます
うっ!
うぐう!
くはぁ!
なんと!
ごちそうさまでした。
これは、まさに自分の思い描いた、地方のこうあるべき大衆食堂の理想的なラーメンのあるべき姿を
完璧に再現しています。
興味深いのは東京の場末の大衆食堂で食べるラーメンよりも若干塩分が多いくらいです。
これは東北によくあることです。食べた最初の一口目からガツンとメッセージが伝わってくるのが
東北のラーメンの特徴です、おそらく汁も完食するとおじさんは確実に塩分のとりすぎになります。
でもこれは、自分が十代の頃から食べていた昭和のラーメンの味そのもの
なつかしい、そして普遍的
口に入れた瞬間に震災前の平和な昭和の風景が浮かびそうです。しかもその時に
本棚に目をやったときに自分は驚きました
「こ!これはっ!」
「なんということだあああ!」
これは本当に2018年の今なのか?正に今自分は昭和の時代にタイムスリップしてないか?
この本棚にあるマンガたちは「湘爆」「タッチ」「コータローまかりとおる」「魁!男塾」そのすべてが
自分が中学校から高校時代にはやって映画になったようなマンガばかりです、
この本棚だけで95点!
あと「ドカベン」と「バビル2世」があれば100点満点の本棚です。
すごすぎる。この本棚をこの状態のまま府中市美術館に持って行けば昭和遺産をコンセプトにした展覧会の企画が立ちそうです。いや、たつでしょう。
この本棚をそのまま首都大学東京に持って行けば僕は2時間講義ができます。
ぜひこのまま、変わらずにあと100年続いて欲しいです。
あまりにも素晴らしいラーメン、あまりにも考現学的に現代アートな究極理想のマンガの本棚を発見したせいでカレーが後回しになっていました。
いいカレーの定義にもパルコキノシタはこだわりがあります。それはカレーのライスとルウの配分なのですが、半カレーを頼んだ時に、もしルゥが足りなくてライスが余るような事になると、これもうかなり残念な気持ちになるのです。
なのでこの「おかずや」さんの「半カレー」はルウの量はまあ写真をみていただければお分かりだと思うのですが、かなりルゥが多目ですよね。合格です。そしてよく煮込んである味もすばらしい。
「中華と洋食」二つを同時に頼んでも830円というのはシーパルちゃんには悪いけど安いです。
まあもっと安いのは自炊ですけどw
シーパルたんは本当にいい事があった時に自分のご褒美のときに食べたいゴージャスなメニュー
いいおじさんの昭和人間パルコキノシタには、このおかずやのラーメンには「味」とか「おなかいっぱい」とは別に「忘れかけていたあの日」を思い出させることが重要です。
実は自分は東京に35年住んでいましたが、元々は四国の南海トラフ来るぞと言われている
徳島県の生まれ。南海トラフが来ていなくても人間の寿命というものは儚く、
昔通って慣れ親しんだ徳島の近所の大衆食堂は完全に潰れてしまい、
その敷地はフランチャイズの牛丼屋に取って代わってしまった、
つまり自分の故郷にも亡くなってしまった故郷の味が、この1100キロ離れた女川の地で生きていた
これはすごい発見でした。
新しい女川、懐かしい女川どっちもいいよね。
そしてまたパルコキノシタは食べた事の無い店を求めてどっかへ行きます。