木村太悦(きむらたいえつ)- 女川ヒト図鑑No.22

木村太悦(きむらたいえつ)- 女川ヒト図鑑No.22

▼プロフィール

名前:木村太悦(きむらたいえつ)
あだ名:たいえつさん
出身:宮城県県女川町
所属:女川みらい創造株式会社
趣味:旅行
特技:学生に歴史を教えること
座右の銘:面白き こともなき世を 面白く
出現スポット:コバルトーレ・サポーターズパーク

 

▼5Questions

1 女川の好きなところ
➡町民全体の無私の心で町を盛り上げるという気概
2 自分だけのこだわり
➡学習塾において生徒と1対1で向き合うこと
3 マイブーム
➡WACK
4 好きな人・尊敬する人
➡漫画家のゆでたまご先生
5 女川での印象的なエピソード
➡2011年8月の野外イベントの総合司会を務めた際に、イベント終了後に達成感で泣き崩れたこと

 

▼Deep Questions

【なんとなく取得した教員免許】

2010年に女川に戻ってくるまでは仙台にいました。当時は仙台で予備校での指導教員や教材販売などをやっていました。大学時代に教員免許を取得していたので、教育関連の仕事に適性を感じていました。

免許取得のきっかけは、大学入学時に新入生での2泊3日のオリエンテーションという名目の旅行です。そこで仲良くなった友達が口を揃えて教員免許を取ると言っていたことが始まりでした。そこで自分も何となく勉強してみようかなと思いました。最初は本当にこれくらいの軽い気持ちでした。
ただこのことが後々、向学館の立ち上げや今の学習塾での活動で活かされることになりました。

 

【女川さいがいFMでの活動】

震災後の2011年の3月末から女川さいがいFMでの活動を始めました。当時避難所生活で悶々としている日が続いていたので、何かやりたいという想いが強くありました。そんな時にラジオ局立ち上げという案件を持ちかけて頂き、元々仙台では趣味の延長でラジオサークルに所属していたこともあって、多少は役に立てると思って始めました。

開局当初は右も左もわからず、戸惑いしかなかったですが、番組作りをやっていくなかで自分本位のトークではなく、「リスナーが何を知りたいのか」「どんな人の話を聞きたいのか」ということを物凄く考えるようになりました。具体的には、避難所生活の方々に、物資の配布場所や時間などをいかにわかりやすく伝え、なおかつ明るい話題をどれだけ提供できるかということを念頭に置いていました。

ラジオでは、2013年に当時90歳のおじいちゃんへのインタビューが印象的です。この方は、福祉センターに入所されていた方なのですが、震災前の女川について話を伺いました。その際に、「津波で壊滅的になった女川をどう思うのか」と質問したところ、「戦争と比べたら大したことない」と仰られたことが忘れられません。焼け野原だった戦争をご経験されているからこその言葉だったので、言葉の重みを強く感じました。それから町の復興に対して、より一層希望を持つようになりました。

 

【女川向学館の立ち上げ】

ラジオ活動と並行して2011年の7月から向学館の立ち上げに尽力していました。今思い出しても特に初年度は本当にやりがいがありました。時には夜中の3時まで同僚の先生方と一緒に夢中になって、授業の準備や生徒一人ひとりに対して、どのような指導をすれば良いか議論を重ねたりしました。この経験がなかったら、今、自分で学習塾を経営するという道はなかったと思います。それくらい当時は本気で生徒に向き合うことで、刺激的な毎日を送っていました。

特に、2011年当時中学3年生だった男の子が印象的です。彼は受験生にも係わらず全く勉強しない生徒で、ある日悪ノリで私に絡んできたのです。その際、自分も当時は血気盛んだったがゆえに思わず手を出してしまいました。その後、どんな経緯があったにせよ、手を出してしまったことは良くなかったと思って、和解するために謝罪に行きました。そして「手を出した以上、受験が終わるまで私が最後まで責任を持つから明日も来い」そう伝えた翌日から、彼の態度が180度変わったのです。勉強に対して本当に熱心に取り組むようになりました。繰り返しますが、生徒に手を出すことは絶対に良くないことです。しかし、彼の場合はそれが功を奏して、受験勉強のモチベーションとなったことが、私にとっても救いとなりました。彼が高校に合格し、向学館を卒業してからも良好な関係は続いていて、女川さいがいFMにも高校生パーソナリティーとして参加し、私の仕事を手伝ってくれました。今思い出しても本当に懐かしいです。

【コバルトーレ女川のスタジアムDJ】

また2012年の4月からはコバルトーレ女川の試合のスタジアムDJもやらせていただいております。実はそれまでサッカーの試合をフルで見たことすらなかったので、最初は失敗と挫折の繰り返しでした。

特に苦労したのは、コバルトーレ女川の選手がゴールをした際の実況です。ゴールする瞬間は両チームの選手がゴール周辺に入り乱れるため、いざ得点が入ったとしても、誰が得点を決めたのかが分かりにくく、試合を盛り上げるためのゴールコールができないという、なんとも情けない状態に陥ってしまいました。当時選手の顔と名前も覚えきれていなかった自分にとっては、本来チームにとって喜ばしい「得点が入る瞬間」が本当に苦痛でした。でも、そんな私をコバルトーレ側は見放さず、スタジアムDJとしての経験を積ませて下さいました。そうしていくなか、徐々にコバルトーレの監督や選手との交流を通じて、信頼関係を構築することができ、自分の実況の型が見えてきました。

また、試合の90分に加えて、試合前後のアナウンスも含む計2時半以上にも及ぶ試合全体のデザインにも苦戦しました。試合がどのような流れになるのか事前に予測することはできないので、いかに進行の流れを大枠として台本に落とし込むかに頭を悩ませましたね。

でも、2014年ごろからようやく自分なりに全体像をつかんできて、気付いたらコバルトーレ選手のゴールを心から祝福で きるような余裕を持てるようになっていました。

【今後挑戦したいこと】

今は町内に再建した自宅にて小・中・高校生相手に1対1の個別指導をやっています。今後は個人事業主としてやっている学習塾の規模を拡大し、より多くの生徒に学びの機会を提供したいです。

個別指導においては、生徒と本気で向き合って、伴走することを大切にしています。生徒がこれまで理解できなかったことが、私の学習塾に来てくれたことで理解できるようになって帰ってくれることが本当に嬉しいです。だからこそ、この活動をどんどん広げていきたいと考えています。

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女川ヒト図鑑は、女川が大好きな有志のメンバーで活動しており、インタビューにご協力いただける方、一緒に盛り上げてくれるメンバーを募集しています。
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