女川滞在記(3) 「約束、選択」

女川滞在記(3) 「約束、選択」
約束をした9月9日

起床。

午前中は束の間の休息。

様々な思いが交錯する居間であった。

12時頃にお試し移住のメンバーと合流し、みんなで「明神丸」のまぐろ丼を食べる。

昨日の夜のことを振り返りながら談笑する。

今日の夜でお試し移住を終えるルームメイトもいるため、個人的にちょっぴり感傷的であった。

でも、3日目にしてこんな仲になれたということは本当に素敵だ…!

 

昼食のあとは「ゆぽっぽ」で湯舟に浸かり(今のところ毎日来ている)、

「アスヘノキボウ」代表のプレゼンを傾聴した。

プレゼンの相手は僕の出身地である新潟から来た、新潟大学の学生約15人ほどだ。

内容としてはオリエンテーションの内容と重複する部分があったものの、

その言葉一つ一つに力があり、エピソードトークをとても詳細に語っていた。

そんななか、僕は演劇と教育をどのようにしてつなげるかを探るために女川に来ていたのだけど、

代表のお話に耳を傾けているうちに単純だが解決の糸口になる視点を得られた。

「子ども、親、地域の人々用に演劇をマーケティングして売り込むこと」

売り込むことの重要性を感じてはいたものの、どうすればよいのかが分からなかった僕には

とっても意義のある内容になった。

 

夜はクラフトビールが飲めるお店「ガル屋」で和気あいあいと樽を囲み、語り合う。

最終電車に乗って別れる時間がそろそろになってきたころ、

お試し移住メンバー4人で「夢かた」のラーメンを食べに行った。

完食したあとに夢をかたることによって料金が0円になり、グッジョブをもらえる。

 

間に合うかどうかハラハラしながらラーメンを待つ。

終電まで残り25分になった。ラーメンが手元に届く!

いってらっしゃいの掛け声とともに一斉にラーメンにがっつく。

ラーメンを食べきれなければ、別れる友人は夢を語る瞬間に立ち会えず、誰の見送りもないまま帰ってしまう。

おそらく、みんな同じ思いでがっついていたんじゃないかと感じた。

汗がだらだら垂れ、ひたすらに太麺と肉厚チャーシューを口に運ぶ。

別れる友人が先に食べ終わった!無事に夢をかたる。グッジョブ!!

終電まで残り7分。ただ口にかっこむ。

そして、3人は無事に食べ終わった!夢をかたる。グッジョブ!!

結局、改札にそこそこ余裕をもって到着。

最後には青くて泥臭さ満点のアツい言葉を交わし、ニンニクの薫る再会の約束をした。

こういう時間が大切なんだよなぁ。

本当に。

一生忘れないし、忘れたくないです。

 

約束の後は、町長やタレントが来店してお祭り騒ぎのガル屋で飲んだり、

(町長が来るのはほぼ毎日らしい)

シーシャを吸いながら語った。

今日も1日ただただ最高だった。

就寝。

選択をした9月10日

起床。

早くも帰って行った友人に対して、ロスを感じてしまう。

出会いがあり、ともに過ごした時間が密だったからこそ、別れ際は輝いて見えた。

一歩一歩、踏みしめて進んでいってほしいなと心の底から願う。

いつか自分も、相手にこういうようなことを思ってもらえたらいいなと思う。

 

今日は昨日のプレゼン終わりに借りた経営・マーケティングに関する本を読む日にした。

 

まずは「ゆぽっぽ」でひとっ風呂浴びる。

もうルーティーン化していて、あの浴場に入ると色んな事を考えられるようになった。

素晴らしいのはスタンプカードと外出券。

外出券は1日2回入りたいときにもらえるもので、2回目は無料になる…!

スタンプカードは、ただでさえ250円と破格の安さなのにそこから100円引きになるというもの。

ぜひ通い詰めてほしい。

 

2Fの休息スペースで本を読む。

 

宿に帰り、パソコンにメモを取りつつ本を読む。

途中でルームメイトが帰宅し、居間でジャズを聴きながら一緒に作業をする。

ふと、女川で過ごす夜は今日と明日しかないということに気づいた。

早すぎるというのが素直な感想だ。

もっと女川で色んな人の話を聞きたかった…と思っていると、

深夜にもう一人ルームメイトが帰宅。

妙な顔つきだったのでどうしたのか聞いてみれば、

「女川に来たのなら、積極的に震災や津波の話を聞くべきだ」

ということを熱く女川の方に言ってもらえた、とのこと。

明日は震災に関して現地を案内しながらお話していただけるようだ。

他のお試し移住メンバーも参加するようで、僕も明日の予定を変更し参加を決める。

 

明日に向けて全部受け止める覚悟を決め、就寝。

投稿者プロフィール

小川譲史
小川譲史Actor
22歳。新潟出身埼玉在住。
役者、福祉関係者。
「好きこそ物の上手なれ」
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